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運転資金を理解する -1-

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運転資金を理解すると、借入申込の際に役立ちます。

金融機関に対して、資金使途と借入希望金額の根拠を説明しやすくなります。

 

運転資金とは資金の立替

 

仕入→在庫→売上と会社の営業活動が循環していく中で、

仕入代金の支払時期から売上代金の回収時期まで時間がかかるため、

その期間は資金の立替が必要になります。

この立替が必要な資金のことを運転資金といいます。

 

手元資金が潤沢であればそれを充当できますが、

余裕がなければ金融機関からの借入などで手当てする必要があります。

運転資金は、設備資金と並んで、金融機関の事業資金融資の主な目的(資金使途)

となっています。

 

成長している会社は、立替期間のためだけでなく、売上の増加が原因で、

立替が必要な金額も増加します。

売上が増加しているのに資金が必要というのは、

一見矛盾しているようにも思えますが、

放置すると資金繰りがどんどん厳しくなっていきます。

なぜそうなるのか、順を追って説明します。

 

自社で必要な運転資金を計算しよう

 

必要な運転資金のことを所要(経常)運転資金といいます。

 

所要運転資金は、以下の計算式で求めることができます。

所要運転資金=売上債権(A)+在庫(B)-仕入債務(C)

 

売上債権とは、売掛金受取手形のことです。

仕入債務とは、買掛金や支払手形のことです。

 

所要運転資金は、貸借対照表で考えるとイメージしやすいです。

 

(A)+(B)が(C)より大きいと、

その差額を何かで埋めなければバランスが取れません。

負債または資本で調達する必要があります。

具体的には、借入金、資本金(増資)または繰越利益剰余金(利益の蓄積)など

になります。

 

(A)+(B)が(C)より小さければ、

資金的に余裕があるので、調達は不要です。

その差額は、現預金や設備投資などで運用されている状態といえます。

 

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平均月商と回転期間から原因を分析する

 

ここから少し深掘りしていきます。

 

(A)、(B)、(C)の3要素を平均月商(月売上高の平均)と回転期間に分解します。

 

売上債権=平均月商×売上債権回転期間

在庫=平均月商×在庫回転期間

仕入債務=平均月商×仕入債務回転期間

 

回転期間とは、売上債権、在庫、仕入債務がそれぞれ平均月商の何ヵ月分あるか

という指標です。

 

所要運転資金の計算式を以下のように書き換えます。

所要運転資金=

平均月商×(売上債権回転期間+在庫回転期間-仕入債務回転期間

 

回転期間の差(ズレ)は、会社の営業活動の循環(仕入→在庫→売上)における

立替期間(収支ズレ)を意味します。

 

よって、次のように表現することができます。

所要運転資金=平均月商×収支ズレ

 

この計算式から以下のことが分かります。

・平均月商(売上)が増えると必要な運転資金が増加する。

・収支ズレ(立替期間)が延びると必要な運転資金が増加する。

 

自社の資金繰りが厳しいのは、売上増加のためか、立替期間拡大のためか、

原因がわかります。

成長している会社は、立替期間が延びていなくても、

売上が増加すると、必要な運転資金も増加します。

 

 

次回予告:増加運転資金とは

 

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